簿
日商簿記3級をめざす

はじめての簿記教室

ゼロから簿記3級合格レベルまで。全8章の解説と分野別4択クイズ・模擬テストで、仕訳を体に染み込ませましょう。

第1章

簿記の基礎 — 5つのグループと仕訳

すべての土台になる章です。ここが固まれば、あとの章は「あてはめ」だけ。

簿記とは「会社のお金の日記」

簿記(ぼき)とは、会社のお金やモノの動きを、決まったルールで帳簿に記録すること。「帳簿録する」から簿記です。

ゴールは、1年に1回つくる2枚の「成績表」=財務諸表です。

貸借対照表(B/S)
資産現金・建物など
持っている財産
負債借金など
純資産自分のお金
損益計算書(P/L)
費用使ったお金
利益もうけ
収益入ってきたお金

貸借対照表は決算日時点の財産一覧、損益計算書は1年間のもうけの成績表です。

すべての勘定科目は5つのグループに分かれる

資産

しさん

会社が持っているプラスの財産・権利。

現金/普通預金/当座預金/売掛金/受取手形/商品/貸付金/建物/備品/土地

負債

ふさい

あとで支払う義務。マイナスの財産。

買掛金/支払手形/借入金/未払金/前受金/預り金

純資産

じゅんしさん

返さなくてよい自分のお金。資産−負債。

資本金/利益準備金/繰越利益剰余金

収益

しゅうえき

もうけの元。収入が発生した原因。

売上/受取利息/受取手数料/雑益

費用

ひよう

もうけのために使ったお金。

仕入/給料/支払家賃/水道光熱費/通信費/支払利息
大事な習慣: 新しい勘定科目に出会ったら、まず「これは5つのうちどれ?」と考えること。3級の勉強はこの繰り返しです。

仕訳のルール — 借方は左、貸方は右

借方(かりかた)
貸方(かしかた)
ひだり側
「り」が左にはらう ↙
みぎ側
「し」が右にはらう ↘

各グループには「ホームポジション」があり、増えたら定位置側、減ったら反対側に書きます。

グループホームポジション増えたら減ったら
資産左(借方)左に書く右に書く
負債右(貸方)右に書く左に書く
純資産右(貸方)右に書く左に書く
収益右(貸方)右に書く(発生)左に書く(取消)
費用左(借方)左に書く(発生)右に書く(取消)
ヒント: ホームポジションは上のB/S・P/Lの図と同じ配置(資産・費用は左/負債・純資産・収益は右)。図ごと覚えましょう。仕訳の左右の合計金額は必ず一致します(貸借平均の原理)。

仕訳の手順はいつも同じ4ステップ

  1. 取引に登場する勘定科目を探す
  2. それぞれのグループ(5つのどれか)を確認する
  3. 増えたか減ったかを考える
  4. ルールを当てはめて左右に置く(左右の金額は一致)

例:商品100,000円を現金で仕入れた

仕入(費用)の発生→左、現金(資産)の減少→右。

借方金額貸方金額
仕入100,000現金100,000

1年間の流れと決算

毎日

取引

お金やモノが動く出来事

毎日

仕訳帳

日付順に仕訳を記録

随時

総勘定元帳

科目ごとに転記・集計

決算

試算表・決算整理

チェックと修正仕訳

決算

財務諸表

B/SとP/Lを作成!

日商簿記3級 試験ガイド

試験時間60分(統一試験・ネット試験とも)
合格点100点満点中 70点以上
第1問(45点)仕訳問題 15題。このサイトのクイズで鍛える部分。ここで満点近く取るのが合格の王道!
第2問(20点)帳簿・勘定記入、補助簿の選択、伝票など(第8章)
第3問(35点)決算問題(精算表・財務諸表の作成など)(第7章)
学習の目安: 第2章〜第6章で「取引の仕訳」を身につけ→第7章で決算→第8章で帳簿・伝票。各章の後に必ずクイズを解いて定着させましょう。
第2章

商品売買 — 仕入と売上

商売の基本、「買って、売る」の記録。3級で最も出題される分野です。

三分法 — 商品売買は3つの科目で記録する

商品の売り買いは、費用仕入収益売上資産繰越商品の3科目で処理します。これを三分法といいます。

例1:商品50,000円を仕入れ、代金は掛けとした(あとで支払うツケ)
借方金額貸方金額
仕入50,000買掛金50,000
例2:商品を80,000円で売り上げ、代金は掛けとした(あとで受け取るツケ)
借方金額貸方金額
売掛金80,000売上80,000
ツケの整理: 資産売掛金=あとで代金を受け取る権利/負債買掛金=あとで代金を支払う義務

返品(仕入戻し・売上戻り)は「逆仕訳」

品違いなどで商品を返したり返されたりしたら、もとの仕訳の逆を金額分だけ行い、取引を取り消します。

例:掛けで仕入れた商品のうち5,000円分を返品した
借方金額貸方金額
買掛金5,000仕入5,000
例:掛けで売り上げた商品のうち8,000円分が返品された
借方金額貸方金額
売上8,000売掛金8,000

諸掛り(しょがかり)— 送料などの扱い

仕入諸掛(当社負担)→ 仕入に含める

商品を買うときにかかった引取運賃などは、仕入の金額に含めます(商品を使える状態にするまでの費用だから)。

例:商品60,000円を掛けで仕入れ、引取運賃2,000円は現金で支払った
借方金額貸方金額
仕入62,000買掛金60,000
現金2,000

売上時の発送費(当社負担)→「発送費」という費用

例:商品を売り上げ、発送運賃3,000円を現金で支払った(当社負担)
借方金額貸方金額
発送費3,000現金3,000
覚え方: 買うときの送料は仕入に上乗せ、売るときの送料は発送費(費用)

前払金・前受金 — 手付金のやりとり

商品の受け渡しにお金を動かしたら、まだ仕入・売上にはできません。

資産前払金 … 手付金を支払った側。あとで商品を受け取る権利。

負債前受金 … 手付金を受け取った側。あとで商品を渡す義務。

例:商品100,000円を注文し、手付金10,000円を現金で支払った
借方金額貸方金額
前払金10,000現金10,000
例:上の商品を受け取り、残額90,000円は掛けとした
借方金額貸方金額
仕入100,000前払金10,000
買掛金90,000

クレジット売掛金と受取商品券

クレジット払いで売った → クレジット売掛金(資産)

カード会社への手数料は費用支払手数料。手数料を差し引いた金額がクレジット売掛金になります(販売時に計上する場合)。

例:商品100,000円をクレジット払いで販売。手数料4%は販売時に計上する
借方金額貸方金額
クレジット売掛金96,000売上100,000
支払手数料4,000

商品券で受け取った → 受取商品券(資産)

例:商品20,000円を売り上げ、自治体発行の商品券で受け取った
借方金額貸方金額
受取商品券20,000売上20,000

受取商品券は、あとで発行元に持ち込んで換金できる権利=資産です。

第3章

現金・預金

「現金」の範囲は日常より広い!現金過不足・当座借越・小口現金がヤマ場です。

簿記の「現金」は通貨だけじゃない

すぐに換金できるものは資産現金として扱います。

  • 紙幣・硬貨(通貨)
  • 他人振出しの小切手(受け取ったらすぐ銀行で換金できる)
  • 送金小切手・普通為替証書(郵便局などで換金できる)
ひっかけ注意: 収入印紙や切手は現金ではありません(租税公課・通信費で処理)。また自分が振り出した小切手を受け取ったときは「当座預金」の増加です。

現金過不足 — 帳簿と実際が合わないとき

帳簿残高と実際のお金が合わないとき、原因がわかるまで一時的に現金過不足という仮の科目に入れておきます。

① 帳簿残高100,000円、実際有高98,000円(2,000円足りない)と判明
借方金額貸方金額
現金過不足2,000現金2,000
② 後日、うち1,500円は通信費の記帳漏れと判明
借方金額貸方金額
通信費1,500現金過不足1,500
③ 決算日。残り500円は原因不明のまま → 雑損(費用)へ
借方金額貸方金額
雑損500現金過不足500
逆パターン: 実際のほうが多かったら 現金/現金過不足 で受け入れ、決算まで原因不明なら雑益(収益)に振り替えます。

当座預金と小切手

資産当座預金は、小切手で支払うためのビジネス用口座(利息なし)。小切手を振り出したら当座預金の減少として記録します。

例:買掛金30,000円を小切手を振り出して支払った
借方金額貸方金額
買掛金30,000当座預金30,000

当座借越(とうざかりこし)

残高を超えて小切手を振り出せる契約(当座借越契約)があると、当座預金勘定が貸方残高(マイナス)になることがあります。決算では、貸方残高を負債の「当座借越」(または借入金)に振り替え、翌期首に逆仕訳(再振替)で戻します。

例:決算日に当座預金勘定が貸方残高20,000円だった
借方金額貸方金額
当座預金20,000当座借越20,000

複数口座と小口現金

複数の銀行口座

口座が複数あるときは「普通預金○○銀行」のように銀行名を付けた科目を使うことがあります。口座間の振替や振込手数料もよく出題されます。

例:普通預金から定期預金へ100,000円を預け替え、手数料200円が引かれた
借方金額貸方金額
定期預金100,000普通預金100,200
支払手数料200

小口現金 — 少額の支払い用のお金

各部署に少額の現金(資産小口現金)を前渡ししておき、定期的に使った分だけ補給する方法を定額資金前渡制度(インプレスト・システム)といいます。

例:小口現金係から報告(旅費交通費2,000円・雑費500円)を受けた
借方金額貸方金額
旅費交通費2,000小口現金2,500
雑費500
例:使った分2,500円を小切手を振り出して補給した
借方金額貸方金額
小口現金2,500当座預金2,500
第4章

さまざまな債権・債務

「あとで受け取る権利」と「あとで支払う義務」のバリエーションを一気に整理します。

約束手形 — 期日に支払うことを約束する証券

約束手形は「○月○日に△△円支払います」と約束した紙。振り出した側は負債支払手形、受け取った側は資産受取手形で処理します。

例:買掛金40,000円の支払いのため、約束手形を振り出した
借方金額貸方金額
買掛金40,000支払手形40,000
例:商品70,000円を売り上げ、約束手形を受け取った
借方金額貸方金額
受取手形70,000売上70,000
例:支払期日となり、手形代金40,000円が当座預金から支払われた
借方金額貸方金額
支払手形40,000当座預金40,000

電子記録債権・電子記録債務

手形の電子版。銀行のシステム上で発生記録をすると、売掛金・買掛金がそれぞれ資産電子記録債権/負債電子記録債務に置き換わります。

例:売掛金50,000円について電子記録債権の発生記録が行われた
借方金額貸方金額
電子記録債権50,000売掛金50,000

期日に入金されたら 普通預金など/電子記録債権。支払う側はこの鏡写し(買掛金→電子記録債務)です。

貸付金・借入金と利息

お金を貸したら資産貸付金、借りたら負債借入金。利息は収益受取利息/費用支払利息です。借用証書の代わりに手形を使うと手形貸付金・手形借入金になります。

例:貸付金100,000円が利息3,000円とともに現金で返済された
借方金額貸方金額
現金103,000貸付金100,000
受取利息3,000
利息の月割計算: 利息=元本 × 年利率 × 月数/12。例:600,000円を年利2%で6か月 → 600,000×2%×6/12=6,000円。

未収入金・未払金 — 商品「以外」のツケ

売掛金・買掛金は商品売買(本業)のツケ専用。備品や土地など商品以外の売り買いのツケは、資産未収入金/負債未払金を使います。

例:備品150,000円を購入し、代金は月末に支払うことにした
借方金額貸方金額
備品150,000未払金150,000
頻出のひっかけ: 備品をツケで買って「買掛金」にしたら不正解!商品なら買掛金、商品以外なら未払金

仮払金・仮受金 — 内容がまだ確定しないお金

内容や金額が確定する前にお金が動いたときの一時的な科目です。

例:従業員の出張にあたり、旅費の概算額30,000円を現金で前渡しした
借方金額貸方金額
仮払金30,000現金30,000
例:帰社後、旅費は27,000円と精算され、残額3,000円は現金で戻された
借方金額貸方金額
旅費交通費27,000仮払金30,000
現金3,000

内容不明の入金があったら負債仮受金で受けておき、判明したら正しい科目へ振り替えます。

立替金・預り金 — 給料まわりの定番

従業員の負担分を会社が立て替えたら資産立替金、給料から天引きして一時的に預かったら負債預り金(所得税預り金・社会保険料預り金)です。

例:給料200,000円のうち、源泉所得税10,000円を差し引き、残額を普通預金から支給した
借方金額貸方金額
給料200,000所得税預り金10,000
普通預金190,000

後日、預かった税金を税務署に納付したら 所得税預り金/現金 です。

差入保証金 — 敷金など

事務所を借りるときの敷金・保証金は、退去時に返ってくる権利なので資産差入保証金で処理します。

第5章

固定資産と減価償却

建物や備品を「買う・使う・売る」の記録。減価償却の計算は決算問題でも必須です。

有形固定資産と取得原価

長く使う財産:建物・備品(パソコン、机など)・車両運搬具・土地。すべて資産です。

買ったときの金額(取得原価)には、購入代価+付随費用(設置費・運送費・登記料・仲介手数料など)を含めます。

例:備品300,000円を購入し、設置費用10,000円とともに代金は月末払いとした
借方金額貸方金額
備品310,000未払金310,000

減価償却 — 使った分だけ価値を減らす

建物や備品は使ううちに価値が減るので、決算で1年分の価値の減少を費用減価償却費として計上します。3級は定額法(毎年同額)です。

定額法の公式: 1年分の減価償却費 = (取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数
例:備品600,000円、残存価額ゼロ、耐用年数5年 → 600,000 ÷ 5 = 年120,000円

記帳は間接法 — 累計額に貯めていく

備品の金額は直接減らさず、評価減価償却累計額という科目に貯めていきます(資産のマイナスを表す科目)。

例:決算につき、備品の減価償却費120,000円を間接法で計上した
借方金額貸方金額
減価償却費120,000備品減価償却累計額120,000

期中に買ったら月割り

期の途中で取得したら、使った月数分だけ計上します。例:10月1日取得・3月末決算なら6か月分 → 年額×6/12。

固定資産の売却 — 帳簿価額と売値の差が損益

帳簿価額=取得原価−減価償却累計額。売値との差額は収益固定資産売却益または費用固定資産売却損です。

例:期首に備品(取得原価500,000円、減価償却累計額300,000円)を150,000円で売却し、代金は現金で受け取った
借方金額貸方金額
備品減価償却累計額300,000備品500,000
現金150,000
固定資産売却損50,000

帳簿価額200,000円のものを150,000円で売ったので、売却50,000円です。期中売却なら、当期分の減価償却費も月割りで計上します。

修理か改良か/固定資産台帳

収益的支出(壊れた所を直す・現状維持)→ 費用修繕費
資本的支出(改良して価値や耐用年数がアップ)→ 固定資産の取得原価に加算(建物など)。

ポイント: 土地は使っても価値が減らないとみなすため、減価償却しません。また、固定資産ごとの取得日・取得原価・償却状況を記録する帳簿を固定資産台帳といいます。
第6章

株式会社と税金

3級の主人公は「小さな株式会社」。株式・配当・税金の仕訳を押さえましょう。

株式の発行 — 元手は資本金

株式会社は株式を発行してお金を集めます。払い込まれたお金は純資産資本金です。

例:会社設立にあたり株式100株を1株5,000円で発行し、全額が当座預金に払い込まれた
借方金額貸方金額
当座預金500,000資本金500,000

利益のゆくえ — 繰越利益剰余金と配当

決算で計算された当期純利益は、純資産繰越利益剰余金に貯められます。

例:決算につき、当期純利益300,000円を損益勘定から振り替えた
借方金額貸方金額
損益300,000繰越利益剰余金300,000

株主総会で配当が決まったら、支払うまでは負債未払配当金。同時に、配当額の一部を純資産利益準備金として積み立てることが会社法で義務付けられています。

例:株主総会で配当100,000円と利益準備金10,000円の積立てを決議した
借方金額貸方金額
繰越利益剰余金110,000未払配当金100,000
利益準備金10,000

税金① 租税公課 — 固定資産税・収入印紙

固定資産税・自動車税・収入印紙などは費用租税公課で処理します。

例:固定資産税50,000円を現金で納付した
借方金額貸方金額
租税公課50,000現金50,000
決算のポイント: 期末に未使用の収入印紙・切手が残っていたら、資産貯蔵品に振り替えます(第7章)。

税金② 法人税等 — 中間納付と確定申告

会社のもうけにかかる法人税・住民税・事業税は法人税、住民税及び事業税(法人税等)で処理します。

例:法人税の中間申告を行い、100,000円を現金で納付した
借方金額貸方金額
仮払法人税等100,000現金100,000
例:決算で法人税等が250,000円と確定した(中間納付100,000円あり)
借方金額貸方金額
法人税等250,000仮払法人税等100,000
未払法人税等150,000

税金③ 消費税 — 税抜方式

消費税は「預かって、あとで納める」税金。仕入時に払った分は資産仮払消費税、売上時に受け取った分は負債仮受消費税で記録します(税抜方式)。

例:商品11,000円(うち消費税1,000円)を仕入れ、現金で支払った
借方金額貸方金額
仕入10,000現金11,000
仮払消費税1,000
例:決算。仮受消費税3,000円と仮払消費税1,000円を相殺し、納付額を確定した
借方金額貸方金額
仮受消費税3,000仮払消費税1,000
未払消費税2,000
第7章

決算 — 1年のまとめ

試験の第3問(35点)がこの章。決算整理仕訳を1つずつ確実に。

決算の流れ

試算表の作成

転記ミスがないか貸借合計を確認

決算整理仕訳

期末ならではの修正を行う

精算表

整理前→整理後→B/S・P/Lを一覧に

財務諸表の作成

貸借対照表・損益計算書

帳簿の締切

損益振替→資本振替→締切

主な決算整理事項: ①現金過不足の整理 ②当座借越への振替 ③貯蔵品への振替 ④貸倒引当金の設定 ⑤減価償却 ⑥売上原価の算定 ⑦費用・収益の前払い・前受け・未収・未払い(経過勘定) ⑧法人税等・消費税の計上

貸倒引当金 — 回収できないかもに備える

売掛金や受取手形が回収不能になることを貸倒れ(かしだおれ)といいます。決算では、来期の貸倒れに備えて貸倒引当金(資産のマイナスを表す科目)を設定します。3級は差額補充法です。

差額補充法: 繰入額 =(売掛金等の期末残高 × 設定率)− 貸倒引当金の残高
例:売掛金400,000円×2%=8,000円、引当金残高3,000円 → 繰入 5,000円
例:決算につき、貸倒引当金5,000円を差額補充法で繰り入れた
借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入5,000貸倒引当金5,000

実際に貸倒れが起きたら

  • 前期以前に発生した売掛金 → まず貸倒引当金を取り崩す:貸倒引当金/売掛金(足りない分は貸倒損失)
  • 当期に発生した売掛金 → 引当金は使えず全額 費用貸倒損失/売掛金
  • 前期に貸倒処理済みの債権を回収できた → 現金/収益償却債権取立益

売上原価の算定 —「しーくり くりしー」

売上原価=期首商品棚卸高+当期仕入高−期末商品棚卸高。仕入勘定で売上原価を計算するための決算整理仕訳が、有名な「しーくり くりしー」です。

例:期首商品50,000円、期末商品70,000円(当期仕入は800,000円)
借方金額貸方金額
仕入(し)50,000繰越商品(くり)50,000
繰越商品(くり)70,000仕入(し)70,000

これで仕入勘定の残高が 50,000+800,000−70,000=780,000円(売上原価)になります。

経過勘定 — 費用・収益を正しい期間に合わせる

家賃や利息は「当期の分だけ」を費用・収益にするため、決算でズレを調整します。

状況科目グループ
費用を払いすぎ(翌期の分まで払った)前払費用(前払家賃など)資産
収益をもらいすぎ(翌期の分まで受け取った)前受収益(前受地代など)負債
収益がまだもらえていない(当期の分なのに)未収収益(未収利息など)資産
費用をまだ払っていない(当期の分なのに)未払費用(未払利息など)負債
例:支払家賃120,000円(12か月分)のうち、4か月分は翌期の分である
借方金額貸方金額
前払家賃40,000支払家賃40,000
例:借入金の利息3,000円が当期分なのに未払いである
借方金額貸方金額
支払利息3,000未払利息3,000
再振替仕訳: 経過勘定は翌期首に逆仕訳で元に戻します。また、未使用の収入印紙・切手は 貯蔵品/租税公課(通信費)に振り替えます。

精算表と帳簿の締切

精算表は「残高試算表→修正記入(決算整理)→損益計算書・貸借対照表」を1枚にまとめた表。収益・費用の科目は損益計算書欄へ、資産・負債・純資産は貸借対照表欄へ書き写します。

帳簿の締切では、収益・費用の残高をすべて損益勘定に集め(損益振替)、差額の当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替えます(資本振替)。

例:売上勘定の残高900,000円を損益勘定へ振り替えた
借方金額貸方金額
売上900,000損益900,000
第8章

帳簿と伝票

試験の第2問(20点)対策。どの取引がどの帳簿に載るかを整理しましょう。

主要簿と補助簿

主要簿は必ず作る帳簿:仕訳帳総勘定元帳補助簿は必要に応じて作る帳簿です。

補助簿記録する内容
現金出納帳現金の入金・出金の明細
当座預金出納帳当座預金の預入れ・引出しの明細
小口現金出納帳小口現金の支払明細
仕入帳/売上帳仕入・売上の明細(返品も記録)
受取手形記入帳/支払手形記入帳手形の明細
売掛金元帳(得意先元帳)得意先ごとの売掛金の増減
買掛金元帳(仕入先元帳)仕入先ごとの買掛金の増減
商品有高帳商品の受入れ・払出し・残高(数量と単価)
固定資産台帳固定資産ごとの取得・減価償却の状況
頻出問題: 「この取引で記入される補助簿はどれ?」→ 仕訳してから、出てきた科目に対応する帳簿を選ぶのがコツ。例:商品を掛けで仕入れた→仕入帳・買掛金元帳・商品有高帳。

商品有高帳 — 先入先出法と移動平均法

同じ商品でも仕入時期によって単価が違うため、払い出す単価の決め方が2つあります。

  • 先入先出法 … 先に仕入れたものから順に払い出すと仮定
  • 移動平均法 … 仕入れるたびに平均単価を計算し直す
例: 期首10個@100円、仕入10個@120円、そのあと15個販売。
先入先出法の払出原価:10個×100円+5個×120円=1,600円(残り5個@120円)
移動平均法:平均単価(1,000+1,200)÷20個=110円 → 15個×110円=1,650円

伝票会計 — 3伝票制

仕訳帳の代わりに伝票で記録する方法。3級では入金伝票・出金伝票・振替伝票の3伝票制が出ます。

伝票使う取引ルール
入金伝票現金が入ってくる取引借方は必ず「現金」なので、相手科目だけ書く
出金伝票現金が出ていく取引貸方は必ず「現金」なので、相手科目だけ書く
振替伝票現金が動かない取引普通の仕訳をそのまま書く

一部現金取引 — 2枚に分ける

「商品30,000円を売り上げ、10,000円は現金・残り20,000円は掛け」のような取引は、2枚の伝票に分けます(取引を分解する方法)。

  • 入金伝票:売上 10,000(現金/売上 10,000 の意味)
  • 振替伝票:売掛金 20,000/売上 20,000

また、いったん全額を掛け取引とみなして起票する方法(擬制する方法)もあります:振替伝票で売掛金30,000/売上30,000+入金伝票で売掛金10,000。

仕訳日計表: 1日分の伝票を科目ごとに集計した表。ここから総勘定元帳へまとめて転記します。

試算表 — 転記ミスを見つける表

総勘定元帳の各勘定を集計してつくる一覧表。借方合計と貸方合計は必ず一致します(一致しなければどこかで転記ミス)。

  • 合計試算表 … 各勘定の借方合計・貸方合計を並べる
  • 残高試算表 … 各勘定の残高だけを並べる
  • 合計残高試算表 … 両方を載せる
実戦

4択クイズ・模擬テスト

分野を選んで挑戦。成績はこのブラウザに保存されます。本試験の第1問(仕訳15題・45点)を意識して、繰り返し解きましょう。

付録

用語集

迷ったらここへ。五十音順ではなく、学ぶ順に並んでいます。

簿記ぼき
会社のお金やモノの動きを、決まったルールで帳簿に記録すること。
勘定科目かんじょうかもく
現金・売上など記録に使う項目名。必ず5グループのどれかに属する。
仕訳しわけ
取引を借方(左)と貸方(右)に分けて記録すること。
借方/貸方かりかた/かしかた
仕訳の左側/右側。「り」は左へ、「し」は右へはらうと覚える。
貸借対照表B/S
決算日時点の資産・負債・純資産をまとめた財産の一覧表。
損益計算書P/L
1年間の収益と費用から利益を計算した成績表。
三分法さんぶんぽう
商品売買を仕入・売上・繰越商品の3科目で記録する方法。
売掛金/買掛金うりかけきん/かいかけきん
商品売買のツケ。受け取る権利が売掛金(資産)、支払う義務が買掛金(負債)。
前払金/前受金まえばらいきん/まえうけきん
商品の受け渡し前に動いた手付金。支払側は資産、受取側は負債。
現金過不足げんきんかぶそく
帳簿と実際の現金が合わないときに使う一時的な科目。決算で雑損・雑益へ。
当座借越とうざかりこし
当座預金の残高を超えた引出し。決算で負債に振り替える。
小口現金こぐちげんきん
少額の支払い用に前渡しする現金。定額資金前渡制度で管理。
受取手形/支払手形うけとりてがた/しはらいてがた
約束手形の債権(資産)と債務(負債)。
電子記録債権/債務でんしきろくさいけん/さいむ
手形の電子版。発生記録で売掛金・買掛金から振り替える。
未収入金/未払金みしゅうにゅうきん/みばらいきん
商品「以外」の売買のツケ。商品のツケ(売掛金・買掛金)と区別する。
仮払金/仮受金かりばらいきん/かりうけきん
内容・金額が確定する前に動いたお金の一時的な科目。
減価償却げんかしょうきゃく
固定資産の価値の減少を毎期費用として計上する手続き。3級は定額法・間接法。
減価償却累計額げんかしょうきゃくるいけいがく
これまでの減価償却費の合計。資産のマイナスを表す。
貸倒引当金かしだおれひきあてきん
売掛金などが回収不能になる場合に備える見積り。差額補充法で設定。
売上原価うりあげげんか
売れた商品の仕入原価。期首+仕入−期末。「しーくりくりしー」で算定。
経過勘定けいかかんじょう
前払費用・前受収益・未収収益・未払費用。費用収益を当期分に調整する科目。
再振替仕訳さいふりかえしわけ
経過勘定などを翌期首に逆仕訳で元に戻すこと。
繰越利益剰余金くりこしりえきじょうよきん
過去の利益の蓄積。配当の原資になる純資産の科目。
租税公課そぜいこうか
固定資産税や収入印紙など、費用になる税金類。
精算表せいさんひょう
試算表から財務諸表までの流れを1枚にまとめた表。
3伝票制さんでんぴょうせい
入金伝票・出金伝票・振替伝票で取引を記録する方法。

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